『ムトウのいも、くり、なんきん』は
とても丁寧に素材を選び出すところから始まりました。
『いも』は鹿児島の安納芋。
高水分でクリームのようなねっとりとした食感を持ち
驚くほど高糖度の品種です。
『くり』は鹿児島の純国産品。
露島連山を望む豊かな大地が育てた栗は
ひと際、深くて濃い風味を持ちます。
『なんきん』は北海道剣淵から取り寄せた
かぼちゃを使用します。
気温の寒暖が生む栗のような濃厚な甘さと、
高い澱粉質のホクホク感が特徴です。
それぞれの素材をペーストにします。
それと合わさるベースは
生クリームやバターなどを加え、
甘さを抑えた白あんです。
『いも、くり、なんきん』の素材本来の甘さは、
ベースに入れる砂糖の配合を変えさせるほどでした。
それぞれの素材の風味を最大に引き出すため、
ベースの分量を抑え、
贅沢にペーストの割合を高くしています。
『いも、くり、なんきん』は、
糖度があまりにも高いため、
高い温度のオーブンではすぐ焦げてしまいます。
ムトウではこのお菓子を焼くときだけ、
下に引く鉄板を重ねるなどの工夫をしています。
火の加減をしっかり見張りながら
じっくり焼いていきます。
ムトウの目指すところは、
いも、くり、なんきん、それぞれ3 つの素材を
そのまま食べるという感覚のお菓子です。
焼き菓子の中に、水分を可能な限り閉じ込め、
ホクホク感、しっとり感を追求しました。
元々が本当に美味しい素材を、
どうしたらもっと美味しいお菓子にできるか。
ムトウの行き着いたカタチが、このお菓子です。
いも、くり、なんきんが本来持つ
豊かな香りを引き出しました。
水分を可能な限り閉じ込め
ホクホク感、しっとり感を追求した、
自然の恵みそのままをお菓子にした一品です。